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2006年5月号
〓〓〓〓〓〓試写室だより 封切はこれからだ!〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓創刊号〓〓〓

     映画を見るプロが選ぶベスト映画&裏ベスト映画
      ∴・∴・∴2006年5月封切り篇∴・∴・∴

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【ベスト】=これぞまぎれもなく、映画を見るプロが選んだ5月の最高作。心して見よ。
【裏ベスト】=出来、不出来は二の次、偏愛あり、ヒイキの引き倒しあり、極私的なケッサク選!
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┣今月の執筆陣(50音順)┫

◇秋本鉄次さん 映画評論家
◇安藤智恵子さん ライター
◇内海陽子さん 映画評論家
◇浦崎浩實さん 激評家(映画評、劇評)
◇江戸木純さん 映画評論家
◇大森さわこさん 映画評論家
◇加藤久徳さん 映画ライター
◇河原晶子さん 映画・音楽評論家
◇黒田邦雄さん 映画評論家
◇塩田時敏さん 映画評論家
◇品田雄吉さん 映画評論家
◇ジャンクハンター吉田さん 編集プロダクション代表
◇高橋諭治さん 映画ライター
◇田中千世子さん 映画評論家
◇暉峻創三さん 映画評論家
◇西脇英夫さん 映画評論家
◇野村正昭さん 映画評論家
◇増當竜也さん 映画評論家
◇まつかわゆまさん シネマアナリスト
◇皆川ちかさん 雑文業
◇みのわあつおさん ポップ・カルチャー評論家
◇宮城正樹さん 映画&音楽の批評&分析家
◇宮崎祐治さん イラストレーター
◇山田宏一さん 映画評論家
◇渡部実さん 映画評論家・日本大学藝術学部講師

◆各人のプロフィール、近況、著作はHPの「執筆者プロフィール」に掲載◆
    http://www.ne.jp/asahi/regard/best-urabest

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★秋本鉄次さん(映画評論家)――――――――――――――――――――――――――

 【ベスト】(順位ナシ)
  ●雪に願うこと
     http://www.yukinega.com/
  ●グッドナイト&グッドラック
     http://www.goodnight-movie.jp/
  ●嫌われ松子の一生
     http://kiraware.goo.ne.jp/
  ●ナイロビの蜂
     http://www.nairobi.jp/

  邦画は早くもベスト3級が2本。「雪~」「松子」は対照的なタッチだが“人生うま
 く運ばない”中の価値観を見事に描いた。「雪~」で“賄いのおばさん”を地味に演じ
 たキョンキョンに、熟女好みとしてはソソられたね。「ナイロビ~」オスカーをゲット
 したレイチェル・ワイズの妊婦ヌードも天晴れ。「グッド~」は実は“愛煙家推薦”。
 スタジオでも本番中(?)でもケツヤニ状態。赤狩り時代は暗黒だが、愛煙家天国の時
 代でもあった。

 【裏ベスト】
  ●ブラッドレイン
     http://www.blood-alone.jp/
  ●ピンクパンサー
     http://www.foxjapan.com/movies/pinkpanther/
  ●夜よ、こんにちは
     http://www.bitters.co.jp/yoruyo/

  やっぱり愛すべき“B級映画”に捧げたい。「ブラッド~」はバンパイアヒロインも
 のとしてはGW映画「アンダーワールド エボルーション」より気合が入ってる「T3」
 でシュワちゃんを苦しめたクリスタナ・ローケンはケート某より運動神経があるし、脱
 ぎもシッカリ、エロケバい。リメークの「ピンクパンサー」はスティーブ・マーチンの
 抜擢により、アホ度が増量。吉本ノリに拍車がかかる。冒頭のMGMマークの遊びも嬉し
 い。

 【封切は終わったけれど…】
  筒井道隆主演「ブレス・レス」は会話の妙も含めてちょっと面白い。いかにも今風の
 若い刑事を演じる彼が、珍しく饒舌な役柄で、電車の中でネーちゃんを軽薄に口説く感
 じは「紅の流れ星」の渡哲也みたいで嬉しい。皮肉屋の父親との軽口もサイコー。中央
 沿線の街の空気、不可解な事件を生む現代の空気を巧みに切り取っているし、掘り出し
 物だった。「ヨコハマメリー」も都市の空気と裏戦後史のツカミが秀逸なドキュメンタ
 リーの王道を行くイイ映画だった。

★安藤智恵子さん(ライター)――――――――――――――――――――――――――

 【ベスト】
  ●戦場のアリア
     http://www.herald.co.jp/official/aria/
  ●13歳の夏に僕は生まれた(※6月公開)
     http://www.13natsu.jp/

  第一次世界大戦中のクリスマスに起こった一夜限りの休戦協定を映画化した『戦場の
 アリア』。3つの異なる国の軍の陣地を行き来しているネコが、各陣地で各国語の名を
 つけられ、かわいがられているのが、ネコ好きの琴線に触れたと同時に、もし戦争にな
 ったら、このネコのようにして、うまく生き抜こうと思いました。
  『13歳~』はブルジョワ少年と難民兄妹の交流を印象深い映像で描く切ない物語。
 「経済格差は悪いことではない」と言うK首相、T大臣に見せたいです(『ナイロビの
 蜂』も)。

 【裏ベスト】
  ●夢駆ける馬 ドリーマー
     http://yumekakeru-uma.com/
  ●ANGEL-A アンジェラ
     http://angel-a.jp/

  予定調和から1ミリもはずれない『夢駆ける馬 ドリーマー』だが、ダコタがかわい
 いから満足、満足、大満足。馬が出てくる映画は、みんないい(暴論)!!
  3年前に某雑誌で「ベッソンは終わった」と書いてすみませんでした。『勝手にしや
 がれ』みたいなモノクロのパリが素敵な『ANGEL-A アンジェラ』ですが、ヒロインは
 巨大ロボにしか見えません。

 【封切は終わったけれど…】
  『超劇場版ケロロ軍曹』。めちゃくちゃハマっているであります!

★内海陽子さん(映画評論家)――――――――――――――――――――――――――

 【ベスト】
  ●雪に願うこと
     http://www.yukinega.com/
  ●間宮兄弟
     http://www.mamiya-kyoudai.com/
  ●嫌われ松子の一生
     http://kiraware.goo.ne.jp/
  ●僕の大事なコレクション
     http://wwws.warnerbros.co.jp/everythingisilluminated/
  ●フーリガン(※6月公開)
     http://www.wisepolicy.com/hooligans/

  「雪に願うこと」は感動作特有の泥くささがまったくないダンディーな一作。「間宮
 兄弟」はかっこ悪い兄弟をかっこ悪いまま愛しむ姿勢がかっこいい。「嫌われ松子の一
 生」は中島哲也監督と中谷美紀のすばらしい仕事ぶりに興奮。「僕の大事なコレクショ
 ン」と「フーリガン」は、イライジャ・ウッド主演の快作。彼の役柄はまったく違うが
 その心意気に共通点がある。「ロード・オブ・ザ・リング」の彼に飽き飽きしている人
 に特におすすめしたい。

 【裏ベスト】
  ●明日の記憶
     http://www.ashitanokioku.jp/

  “難病映画”というジャンルを軽蔑しているが、久しぶりに楽しめた。堤幸彦のサス
 ペンス演出はホラー映画すれすれ。その馬力に敬意を表する。

★浦崎浩實さん(激評家/映画評・劇評)―――――――――――――――――――――

 【ベスト】
  ●太陽に恋して
     http://ameblo.jp/injuly/
  ●僕の大事なコレクション
     http://wwws.warnerbros.co.jp/everythingisilluminated/
  ●戦場のアリア
     http://www.herald.co.jp/official/aria/
  ●嫌われ松子の一生
     http://kiraware.goo.ne.jp/
  ●アダン
     http://www.adan-movie.net/
  ●恋するトマト クマインカナバー
     公式サイトなし

  「太陽に~」「僕の~」はともにロードムービーの秀作。後者はオデッサが舞台だ
 がプラハ近郊で撮影した由なれど、車の窓から一瞬写る長大な階段は「戦艦ポチョム
 キン」の“オデッサの階段”と了解することにした。「アダン」の“光”、「恋する
 ~」の心理のヒダに感銘。「嫌われ~」は破天荒で、逆説また逆説に大感激!

 【裏ベスト】
  ●クオ・ヴァディス、 ベイビー?(未見)
     http://www.asahi.com/event/it06/(イタリア映画祭)
  ●五月の恋
     http://www.may-love.com/

  「クオ・ヴァディス」(いずこへ)といえば、シェンキエビィッチ原作、M・ルロイ
 監督の3時間近いハリウッド超大作を思い浮かべるが、むろん、キリスト教受難もので
 はないでしょう。タイトルに惹かれ観にいくつもり。後者は、やや回りくどい作りなれ
 ど、台湾の〈5月の雪〉の“見立て”や“秘境”が興味深い。

 【封切は終わったけれど…】
  「ボブ・ディラン/ノー・ディレクション・ホーム」の千秋楽近い3月末、やっとシ
  アター・イメージフォーラムで観て、この3時間30分のドキュメンタリーにいたく
  感激。画面(えづら)としても、“話”としても最良の評伝の一作ではあるまいか。

★江戸木純さん(映画評論家)――――――――――――――――――――――――――

 【ベスト】
  ●ナイロビの蜂
     http://www.nairobi.jp/
  ●グッドナイト&グッドラック
     http://www.goodnight-movie.jp/
  ●柔道龍虎房
     http://www.judo-ryukobo.com/

  『ナイロビの蜂』はアフリカの底なしの悲劇の中で輝く主演2人の超一流の芝居にシ
 ビれる地獄のラブストーリー。安易なハッピーエンドの存在しない仮借なき現実をエン
 タテインメント大作に叩き込むこの監督の根性は大したものだと思う。『グッドナイト
 &グッドラック』はジョージ・クルーニーが思う存分撮った、予想以上に骨のある映画
 でジャーナリズムとは何かと闘うことなのだと久々に再認識させてくれた。日本のテレ
 ビに携わるすべての者は義務としてこの映画を見るべきだろう。『柔道龍虎房』は、あ
 えてカンフーを封印してもここまで熱い香港製格闘技映画を作ることができる香港映画
 の底力を堪能。ジョニー・トーの千手観音のような才能にひれ伏すのみ。その他、『僕
 の大事なコレクション』は後半湿っぽくならなければ傑作だったし、『雪を願うこと』
 は最近の日本映画には珍しく地に足のついた映画で好感が持てた。

 【裏ベスト】
  ●レント
     http://www.movies.co.jp/rent/

  ミュージカルとは何かをまったくわかっていないクリス・コロンバスの単調な演出は
 致命的だが、この恐ろしくストレートで青臭いメッセージの歌やドラマは逆に新鮮なの
 と同時に、若いエネルギーのマグマが爆発しそうだった89年のニューヨークのイース
 トヴィレッジでの個人的な記憶の数々が蘇って不覚にも感動してしまった。
  あと、『連理の枝』と『タイフーン』は、<韓国映画の過剰なセンチメンタリズム>
 と<執拗なバイオレンス>と<登場人物のデリカシーの欠如>に、<日本のテレビドラ
 マ的薄っぺらさ>や<難病エクスプロイテーションの醜悪さ>、<ハリウッド映画の傍
 若無人な傲慢さ>など、考えられる映画的犯罪をミックスした駄作の極み。韓流熱も一
 瞬で凍らせるこのあまりのヒドさはある意味必見である。

 【封切は終わったけれど…】
  ●エンジェルス・イン・アメリカ
  名匠マイク・ニコルズ監督が、エイズと同性愛を題材にした傑作戯曲を映像化した6
 時間の超大型ミニ・シリーズ。アル・パチーノ、メリル・ストリープ、エマ・トンプソ
 ンといった豪華キャストが本気を見せる驚愕の神話ファンタジーは、映画数本分の見応
 えあり。

★大森さわこさん(映画評論家)―――――――――――――――――――――――――

 【ベスト】
  ●雪に願うこと
     http://www.yukinega.com/
  ●グッドナイト&グッドラック
     http://www.goodnight-movie.jp/

  『雪に願うこと』。映像も、演技も、物語も、すべて良い。完成度の高い“王道”人
 間ドラマですね。ヘンな押しつけがましさがなく、ラストの“サラリ感”もイイ。個人
 的には伊勢谷友介演じる主人公の喪失感に感情移入しました。都会ですべてを失った男
 が、北海道で馬に触れ、人間らしい体温を取り戻す……。ばんえい競馬のパワフルな映
 像は見ごたえがあります。
  原作者は「風花」の鳴海章。「風花」も、「雪に願うこと」も、都会で活力を失った
 男が、旅先で静かに蘇る瞬間を描いた映画だと思う。そして、そんな男を見守る小泉今
 日子は、いつもこの作家の映画化作品で好演ですね。


  『グッドナイト&グッドラック』。ジョージ・クルーニーって、ほんと、マジメです
 ね。もうちょっと、やわらかい広がりがあると、映画らしいのに……って、思うところ
 もある。でも、赤狩りと闘った実在のジャーナリストの映画を今どき撮ってしまう“気
 骨”には、ほだされる(家を抵当に入れて、撮ったそうですね)。こちらも王道のドラ
 マです。ダイアン・リーヴスのジャズがモノクロの都会的な映像に合っていて、このあ
 たりのセンスは、さすが、ローズマリー・クルーニーの甥っ子。いいサントラです。

 【封切は終わったけれど…】
  5月に出るDVDでのオススメは「真夜中のピアニスト」。最近、フランス映画は埋も
 れがちですが、これはホントに傑作でした。

★加藤久徳さん(ライター)―――――――――――――――――――――――――――

 【ベスト】
  ●グッドナイト&グッドラック
     http://www.goodnight-movie.jp/
  ●僕の大事なコレクション
     http://wwws.warnerbros.co.jp/everythingisilluminated/
  ●五月の恋
     http://www.may-love.com/
  ●ロシアン・ドールズ
     www.herald.co.jp/official/russian_dolls/
  ●劇場版 テニスの王子様
     www.shochiku.co.jp/tenipuri/

  『グッドナイト&グッドラック』 TVドラマ『ER』でスターとなったジョージ・ク
 ルーニーが、劇場映画という媒体を使って、50年代テレビジャーナリストの心意気を力
 強く、誠実に演出した本年屈指の力作。50年代前半に全米を席巻した、米ソ冷戦下の第
 二次赤狩り(共産主義者の摘発)の様子をテレビマンの側から見たものだが、テレビで
 育ったクルーニーの、これはテレビ界への“恩返し”なのか? いずれにしろ、志の高
 さに敬服する。
  “事実”を基にしたノンフィクション・ドラマとはいえ、“けれん”の欠片もない。
 遊びもユーモアもない。ハリウッドにおける同じ赤狩りを描いた『真実の瞬間(とき)』に満載
 されていた怒りと悲しみと情感は本作にはない。問題作であるのに、90分と短いのはそ
 のためなのだろう。無駄なぜい肉も脂肪もない映画の凄味を久々に味わった。
  製作、脚本、監督を努めたクルーニーだが、主演はしていない。自分は脇に回り、主
 役のCBSニュースキャスター、エドワード・マローはデヴィッド・ストラザーンに任せ
 ている。マロー本人とは顔つきが違うのに、と言うよりも、本人を知らない僕が、これ
 は本物であると思えるほど、ストラザーンにはオーラを感じた。“顔”と“雰囲気”が
 重要とはこういうことだ。登場人物の男のほとんどが全編でたばこをプカプカ。オンエ
 ア中のマローが当然のように喫煙する姿に男の色気を感じて感動。嫌煙者、喫煙励行中
 の御仁に見せたい10年に一度の傑作。

 【裏ベスト】
  ●隠された記憶
     http://www.kioku-jp.com/
  ●ドラゴン・プロジェクト 精武家庭(※6月公開)
     http://www.cinemart.co.jp/theater/info_dragon.html(劇場サイト)
  ●アダン
     http://www.adan-movie.net/
  ●ガーダ パレスチナの詩
     http://www.ghada.jp/
  ●サージェント・ペッパー ぼくの友だち
     http://www.s-pepper.com/

  『隠された記憶』 移民問題や労働問題で揺れるフランスだが、この映画は実にタイ
 ムリーな内容の作品。ドイツ人のミヒャエル・ハネケ監督が、フランスでフランス人を
 使ってフランスの恥部を描いたのではないかな。まあ、深読みかもしれないが、ダニエ
 ル・オートイユ演じる人気テレビ司会者の、明らかに人種差別主義と断言できる傲慢ぶ
 りに実は納得。これが本当のフランス人だ! 裏ベストの第一位である。これが表ベス
 トでないのは、『グッドナイト&グッドラック』のニュース・キャスターと並べるのが
 嫌だったから。

★河原晶子さん(映画・音楽評論家)―――――――――――――――――――――――

 【ベスト】
  ●ファザー、サン
     http://www.pan-dora.co.jp/fatherson/
  ●ブロークン・フラワーズ
     http://www.brokenflowers.jp/
  ●RENT/レント
     http://www.movies.co.jp/rent/
  ●隠された記憶
     http://www.kioku-jp.com/
  ●ジャケット
     http://www.jacket-movie.jp/
  ●夜よ、こんにちは
     http://www.bitters.co.jp/yoruyo/
  (順不同)

  「隠された記憶」のミヒャエル・ハネケ、「夜よ、こんにちは」のマルコ・ベロッキ
 オに敬服。“作家主義”がどんどん無視されてゆく今、“我が道を往く”を貫く彼らの
 存在が私を勇気づけてくれます。

 【封切は終わったけれど…】
  ほとんど話題にならなかったベルギー映画「変態村」。仰天のタイトルですが、ベル
  ギー特有のビザールな美学と70年代の東欧の前衛演劇(タデウシュ、カントールなど)
  をミックスしたような、特異な作品でした。

★黒田邦雄さん(映画評論家)――――――――――――――――――――――――――

 【ベスト】
  ●愛より強く
     http://www.elephant-picture.jp/aiyori/
  ●太陽に恋して
     http://ameblo.jp/injuly/
  ●グッドナイト&グッドラック
     http://www.goodnight-movie.jp/

  ファティ・アキン監督の「愛より強く」は、トルコ系ドイツ人の男女による痛ましい
 恋愛映画。傷つくのは男で、傷つけるのは女。移民問題の取り込みがうまい。「太陽に
 恋して」もアキン監督の青春映画だが、どこかの国のアホな青春映画と大違いの知的な
 味わい。「グッドナイト&グッドラック」は1950年代のテレビ界が舞台だが、男たち
 のピシッとした身だしなみが美しい。ジョージ・クルーニーの硬派な仕事ぶりに拍手。

 【裏ベスト】
  ●隠された記憶
     http://www.kioku-jp.com/
  ●ロシアン・ドールズ
     www.herald.co.jp/official/russian_dolls/

  裏ではなく表の傑作ですが、ごひいき男優の主演映画なので評価が甘くなっているか
 もしれないと謙虚な気持で裏にした。「隠された記憶」は長年のごひいきダニエル・
 オートゥイユ主演のミステリーで、歳とったけどやっぱりいい俳優だ。「ロシアン・
 ドールズ」はいま旬のロマン・デュリス主演のコメディ。トップスターになってもフル
 チンで街を走る彼に、アソコのサイズを気にしつつも感激!

 【封切は終わったけれど…】
  ドキュメンタリー映画「ヨコハマメリー」をおすすめ。アメリカ兵相手の娼婦として
 名を馳せたメリーさんは、老いてなおヨコハマでショーバイをし続けたが、数年前に姿
 を消した。メリーさんはいずこに、と関係者の証言を集める。そこから浮かび上がるメ
 リーさんの姿は、まさに「欲望という名の電車」のブランチなのだ。

★塩田時敏さん(映画評論家)――――――――――――――――――――――――――

 【ベスト】
  ●1)マスターズ・オブ・ホラー「インプリント~ぼっけえ、きょうてえ」
     http://moh13.jp/
  ●2)プラハ!
     http://www.praha-movie.com/
  ●3)僕の大事なコレクション
     http://wwws.warnerbros.co.jp/everythingisilluminated/

  やっぱこれでしょう、出演者としては(笑)。いや、決して裏ベストじゃないよ、マ
 ジおもて。これは師匠・今村昌平「楢山節考」に対する弟子・三池崇史のホラーによる
 挑戦だ。老親捨ての貧しい日本ならぬ、赤子の間引きで日本を撃つ。返す刀でアメリカ
 をも。それゆえか、中絶大反対のブッシュ政権の米国に嫌われ、米国資本の作品なのに
 あちらのケーブルTVから放映拒否。これをスクリーンで見られる日本の映画ファンは幸
 福だ。

 【裏ベスト】
  ●嫌われ松子の一生
     http://kiraware.goo.ne.jp/

  いくら何でも、こりゃヤリ過ぎでしょう。これでもかこれでもかと、次から次の、驚
 いたり楽しんだりしてるヒマもない、中島哲也の映像ギミック。いや、メチャクチャ面
 白いんだけど、過ぎたるは及ばざるウンヌンカンヌン……。完成度は「下妻物語」の方
 が上だと思うし、松子以上に感情移入も出来た。

★品田雄吉さん(映画評論家)――――――――――――――――――――――――――

 【ベスト】
  ●グッドナイト&グッドラック
     http://www.goodnight-movie.jp/
  ●ナイロビの蜂
     http://www.nairobi.jp/
  ●雪に願うこと
     http://www.yukinega.com/
  ●間宮兄弟
     http://www.mamiya-kyoudai.com/

  「ナイロビの蜂」はジョン・ル・カレ(原作)の味がうまく出ていたと思います。

 【裏ベスト】
 ●僕の大事なコレクション
     http://wwws.warnerbros.co.jp/everythingisilluminated/
 ●ピンクパンサー
     http://www.foxjapan.com/movies/pinkpanther/
 ●夜よ、こんにちは
     http://www.bitters.co.jp/yoruyo/

  「ピンクパンサー」東洋人ケイトーが出てこないのが、ちょいと残念。

★ジャンクハンター吉田さん(編集プロダクション代表)――――――――――――――

 【ベスト】
  ●デス・トランス
     http://www.deathtrance.jp/

  現在、日本でアクション映画界の裏方を引っ張ってきている下村勇二監督の劇場長編
 デビュー作(彼の先輩にあたる谷垣健治氏も今夏『マスター・オブ・サンダー』でデ
 ビュー)。下村監督と公私共に11年間も一緒に仕事をしてきた坂口拓が主人公グレイヴ
 を演じ、敢えてセリフを減らしたリアル・ヒッティング&リアル・アクションを展開す
 る無国籍な匂い漂うファイト(カポエラ使いも登場!)は、海外の市場にも受けそうな予
 感大!

 【裏ベスト】
  ●ドラゴン・プロジェクト 精武家庭(※6月公開)
     http://www.cinemart.co.jp/theater/info_dragon.html(劇場サイト)

  アジア通以外にはあまり馴染みのない香港で人気のある俳優スティーブン・フォンが
 監督にチャレンジした本作は、カンフーと家族を主軸に悪者組織とバトルを繰り広げる
 クラシカルな雰囲気も交えた娯楽アクション作。やはり見所はアンソニー・ウォン。
 チョイ悪な親父のイメージが強いけども、本作では逞しくカッコイイ親父を演じてて、
 彼の芸域の幅広さをさらに体感できるはず。

 【封切は終わったけれど…】
  『ブロークバック・マウンテン』をお薦め。男同士の恋愛劇ではあるものの、アン・
 リー監督が観客へ投げ掛けた裏テーマに存在するのが家族愛という部分に気づけばさら
 に奥深く作品が観れるようになるし、各所へ散りばめられた普通に観ていると通り過ぎ
 てしまいそうなシーンにちょっとした伏線を挿入してて、後半でパズルの如く完成する
 巧みさは秀逸。アメリカ南部訛りを言葉で表現しているヒース・レジャーの演技も素晴
 しいでしょう。

★高橋諭治さん(映画ライター)―――――――――――――――――――――――――

 【ベスト】
  ●1)隠された記憶
     http://www.kioku-jp.com/
  ●2)ブロークン・フラワーズ
     http://www.brokenflowers.jp/
  ●3)ジャケット
     http://www.jacket-movie.jp/

  ミヒャエル・ハネケの超A級スリラー「隠された記憶」は、ミステリーの謎解きの重
 要なヒントとなるラストショットがあまりにも不親切で、さすがひねくれ者ハネケと妙
 に脱帽。中盤過ぎには劇場で悲鳴が上がりそうな驚愕シーンが炸裂します。「ブローク
 ン・フラワーズ」はひたすら緩慢な中年孤独男ビル・マーレイが終盤に見せる“疾走”
 に感動。本筋とは関係ないが、マーレイが旅の途中で立ち寄る花屋の女の子のキュート
 さも必見です。英国の実験映像作家ジョン・メイブリーが二大スター&曲者怪優多数の
 共演で撮った『ジャケット』は、風変わりな設定のサスペンス・ファンタジーで、なお
 かつ死を運命づけられた男の悲哀にホロリ。“隠れ・男泣き映画”としてお薦めしてお
 きます。そのほかの今月のベスト候補は「ニューヨーク・ドール」「ナイロビの蜂」で
 した。

 【裏ベスト】
  ●1)夜よ、こんにちは
     http://www.bitters.co.jp/yoruyo/
  ●2)夢駆ける馬 ドリーマー
     http://yumekakeru-uma.com/
  ●3)グッドナイト&グッドラック
     http://www.goodnight-movie.jp/

  「夜よ、こんにちは」は、イタリアのモロ元首相誘拐暗殺事件を題材にした実録もの。
 とはいえマルコ・ベロッキオの新作だけに普通の社会派劇とはならず、密室ダーク・
 ファンタジー・スリラーとでもいうべき異様な映画に仕上がってます。「夢駆ける馬 
 ドリーマー」は天才子役ダコタの健気な名演技がセールスポイントと見せかけ、実は父
 子に扮したカート・ラッセル&クリス・クリストファーソンが泣かせる渋い1本。本来
 は“表”ベスト有力の「グッドナイト&グッドラック」は、その実験的とも思える大胆
 な演出に着目してあえて“裏”ベスト入り。デヴィッド・ストラザーンのダンディぶり
 やタバコの紫煙が充満したTV局内のムードは、ほとんどハードボイルド映画の世界。敵
 役のマッカーシー議員だけ役者を起用せず、ニュース映像で代用したアイデアも凄い。
 それにしてもフランク・ランジェラ、ジェフ・ダニエルズのような怪しい連中が会長や
 幹部をやってるTV局って……。

★田中千世子さん(映画評論家)―――――――――――――――――――――――――

 【ベスト】
  ●間宮兄弟
     http://www.mamiya-kyoudai.com/
  ●雪に願うこと
     http://www.yukinega.com/
  ●ナイロビの蜂
     http://www.nairobi.jp/
  ●ファザー、サン
     http://www.pan-dora.co.jp/fatherson/

  森田芳光の自分帰りとも言うべき『間宮兄弟』が楽しい。うるさいほどさりげなく一
 緒にいる兄弟のおかしさ。
  一方、根岸吉太郎の『雪に願うこと』は、人間関係の回復が自分回復になっていくと
 ころに映画の成熟を感じてわくわくする。『ナイロビの蜂』は政治の悪と夫婦の愛の拮
 抗が感動の源になっている。ソクーロフの『ファザー、サン』はポエジーがエロスに
 なっている傑作!!

 【裏ベスト】
  今回はパスです。

★暉峻創三さん(映画評論家)――――――――――――――――――――――――――

 【ベスト】
  ●柔道龍虎房
     http://www.judo-ryukobo.com/

  いま香港で最もノリにノッテル監督ジョニー・トーだからこそ作れた怪作。新作「黒
 社会」シリーズを作る時の正攻法的気合とは別のモードから、やりたいことを徹底して
 やってしまいました、という清々しさ。

 【裏ベスト】
  ●デイジー
     http://www.daisy-movie.com/

  『僕の彼女を紹介します』+『インファナル・アフェア』を試みたのだろうクァク・
 ジェヨン原案、アンドリュー・ラウ監督の本作は、そのどちらか一本分の感動度にも及
 ばなかった。が、それでもチョン・ジヒョンが写っているだけでヨシ。

★西脇英夫さん(映画評論家)――――――――――――――――――――――――――

 【ベスト】
  ●ブロークン・フラワーズ
     http://www.brokenflowers.jp/
  ●僕の大事なコレクション
     http://wwws.warnerbros.co.jp/everythingisilluminated/
  ●見知らぬ他人
     http://www.nzff2006.com/
  ●玲玲の電影日記
     http://www.rinrin-movie.com/
  ●隠された記憶
     http://www.kioku-jp.com/
  ●嫌われ松子の一生
     http://kiraware.goo.ne.jp/
  ●夜よ、こんにちは
     http://www.bitters.co.jp/yoruyo/

  「ブロークン・フラワーズ」はジム・ジャームッシュらしいユーモアが好き。「僕の
 大事なコレクション」はストーリーがよくできている。「玲玲の電影日記」は中国版の
 「ニュー・シネマ・パラダイス」。「隠された記憶」はトリッキーでとにかく面白い。

 【裏ベスト】
  ●Vフォー・ヴェンデッタ
     http://wwws.warnerbros.co.jp/vforvendetta/
  ●デイジー
     http://www.daisy-movie.com/
  ●ANGEL-A アンジェラ
     http://angel-a.jp/

  「Vフォー・ヴェンデッタ」は期待はずれのダ作。「デイジー」は韓国映画の大げさ
 大芝居が、かえって笑える。「ANGEL-A アンジェラ」は、あいかわらずベッソンの乱作
 (ダメ)ぶりがうかがえる。

 【封切は終わったけれど…】
  「パパラッチ」。タイトルの割に評判がいいようなので、残念。
  「寝ずの番」、こちらも評判を聞いて、くやしい思いをしている。

★野村正昭さん(映画評論家)――――――――――――――――――――――――――

 【ベスト】
  ●間宮兄弟
     http://www.mamiya-kyoudai.com/
  ●雪に願うこと
     http://www.yukinega.com/
  ●嫌われ松子の一生
     http://kiraware.goo.ne.jp/
  ●LIMIT OF LOVE/海猿
     http://www.umizaru.jp/
  ●小さき勇者たち~GAMERA~
     http://gamera.jp/

  「阿修羅のごとく」を含めて、このところ低迷していた森田芳光監督の久々の快作に
 して傑作が、僕にとっては「間宮兄弟」でした。劇場用映画デビュー作「の・ようなも
 の」を彷佛とさせるエッセイのような語り口に魅了されました。「雪に願うこと」「嫌
 われ松子の一生」「小さき勇者たち~GAMERA~」も大好きな作品ですが、「LIMIT OF
 LOVE/海猿」は「ポセイドン・アドベンチャー」を巧みに換骨奪胎した秀作でした。

 【裏ベスト】
  ●デイジー
     http://www.daisy-movie.com/
  ●the EYE 3
     http://www.theeye-movie.com/

  泣かせるためには手段を選ばずの韓国映画――特に「連理の枝」には、いささか辟易
 していたので、オランダ・ロケ、香港人監督(アンドリュー・ラウ)による「デイジー」
 を面白く見てしまいました。チョン・ジヒョンへの思い入れもあるのでしょうが、アク
 ション・シーンになると、まるで別の映画のように、香港ノワール・タッチにモード変
 換してしまうあたりがおかしい。「the EYE 3」は、化物屋敷風展開が楽しめました。

 【封切は終わったけれど…】
  ●映画監督になる方法

  単館での上映は終了しているはずですが、6月にDVDが発売される予定だそうなので。
 いわゆるPFFを中心にしたインディーズ映画の内幕暴露ものとして見ると相当に面白い。
 「流れ者図鑑」に出演した松梨智子監督自身の体験が恨みをこめて(!?)描かれている
 件りはケッサクですが、平野勝之監督はよく怒らなかったもんだなあ(怒ってるのか!?)。
 万事が俺様モードの自主映画監督たちの生態を知る者にとって身につまされる珍作にし
 て怪作!

★増當竜也さん(映画評論家)――――――――――――――――――――――――――

 【ベスト】
  ●ガメラ 小さき勇者たち
     http://gamera.jp/

  昭和ガメラと平成ガメラとのほぼ中間に位置し、双方にリスペクトもなされた気持ち
 のいいファミリー映画。子役たちが鬱陶しくないのもいいし、夏帆ちゃんも可愛い。伊
 勢という古代神話の町を舞台にしているのも大いにプラスしており、もはや後半名古屋
 に舞台を移さなくてもよかったのでは? と思うほどですが、それでもクライマックス
 は涙。特撮も良好ですが、本編の演出の素直さが光ります。音楽も好ましかった。

 【裏ベスト】
  ●Vフォー・ヴェンデッタ
     http://wwws.warnerbros.co.jp/vforvendetta/
  ●明日の記憶
     http://www.ashitanokioku.jp/
  ●デス・トランス
     http://www.deathtrance.jp/

  裏というより、ちょいと気になった作品を挙げてみました。『Vフォー・ヴェンデッ
 タ』電脳感覚革命映画。それが不快という人もいますが、私はそこが興味深かった。
 『明日の記憶』劇中出てくるアルツハイマー・テストを主人公と一緒に自分もやってみ
 たら、非常に怖い結果が出ました……。『デス・トランス』特に評価はしませんが、き
 れえなおねいさんが一所懸命アクションやる姿だけはいつ観ても気持ちのいいものです。
 あ、早く『イーオン・フラックス』観なきゃ。

 【封切は終わったけれど…】
  『ナルニア国物語』にがっかりした人はぜひ『ナニー・マクフィーの魔法のステッキ』
 を観てください。『ディバージェンス 運命の交差点』は空気感が好み。少女たちが死
 者に会うためネイティヴ・アメリカンのダンスを踊ろうとする『ghost dance』は現代の
 哀しみを突く真摯なヒューマン映画。大学女相撲を題材にした『ちゃんこ』は、実は国
 際感覚に満ちた佳作。あ、『超劇場版ケロロ軍曹』は大好きな映画です。『刺青』『卍』
 ともにミョーで良し。

★まつかわゆまさん(シネマアナリスト)―――――――――――――――――――――

 【ベスト】
  ●グッドナイト&グッドラック
     http://www.goodnight-movie.jp/
  ●RENT
     http://www.movies.co.jp/rent/
  ●愛より強く
     http://www.elephant-picture.jp/aiyori/
  ●ナイロビの蜂
     http://www.nairobi.jp/
  ●隠された記憶
     http://www.kioku-jp.com/

  今月はジョージに捧げちゃいます。マローの伝記を読みましたが、第二次大戦中から
 30年間のジャーナリスト生活にはほんとに伝説的な出来事が一杯あるのに、対マッカー
 シーのエピソードだけに絞り込んで監督のメッセージを際立たせるという覚悟のある作
 りに「よっしゃぁ。さすがジョージ。私の見る目はまちがってなかった」と思いました。
  この作品をめぐって彼はコメントを出しているのだけれどそれがまたいい。「そうだ
 よ、オレはリベラルだ。言い訳なんかしない。むしろ自慢だ。どんなことになっても自
 分の政府に質問することは国民の義務なんだ。批判される恐怖に麻痺してはいけない。
 大人になって、攻撃を受け止めようじゃないか」政府がやろうとしていることを黙って
 許していたら認めることになる。後から私はだまされたなんて言い訳したくない。
 I agree with you. 同じ理由で「Vフォー・ヴェンデッタ」も支持してます。
  舞台を見られなかった「RENT」、映画としても満足できるミュージカルでした。
  「ナイロビ」のワイズの役ってケイト・ウィンスレットの役じゃないかなぁと感じた
 方いらっしゃいませんか?

 【裏ベスト】
  ●明日の記憶
     http://www.ashitanokioku.jp/
  ●Vフォー・ヴェンデッタ
     http://wwws.warnerbros.co.jp/vforvendetta/
  ●ANGEL-A アンジェラ
     http://angel-a.jp/
  ●ガーダ パレスチナの歌
     http://www.ghada.jp/
  ●ピンクパンサー
     http://www.foxjapan.com/movies/pinkpanther/

  たぶんけちょんけちょんに言われるだろう「アンジェラ」を弁護します。ベッソンっ
 て「俺がやらねば誰がやる」というところスピルバーグに似ていると思います。昔イン
 タビューしたときに言ったことでとても印象に残っているのは「若者たちに希望を伝え
 る役目を哲学者や文学者が怠っているので仕方ないから俺がやらなきゃいけない」とい
 う言葉。今回、これだ、と思ったわけです。
  今フランスで一番「俺は何をやっても浮かばれない」と感じている若者、アラブ系の
 彼らに「そんなことないさ君たちはいい物を持っているのだから。自分を信じてみなよ」
 と言うための映画なんだと思います。
  ま、確かに趣味に走ってますけど。

★皆川ちかさん(ライター)―――――――――――――――――――――――――――

 【ベスト】
  ●1位)愛より強く
     http://www.elephant-picture.jp/aiyori/
  ●2位)ファザー、サン
     http://www.pan-dora.co.jp/fatherson/
  ●3位)グッドナイト&グッドラック
     http://www.goodnight-movie.jp/

  「愛より強く」年の差約20歳の男女が、互いの愛情を確認するまでの前半がパンクな
 コメディ。“恋人同士”になってからの後半が悲痛なラブストーリー。ここでは“愛”
 は優しいものではなく、残酷なものとして描かれている。そして残酷ゆえに、嘘はつい
 ていない。嘘をつかないからこそ、痛みが伴う。悲痛な結末がまたリアルなんですよ。
 監督はファティ・アキン、この名前をしかと覚えときます。

 【裏ベスト】
  ●1位)柔道龍虎房
     http://www.judo-ryukobo.com/
  ●2位)隠された記憶
     http://www.kioku-jp.com/

  「柔道龍虎房」ジョニー・トーが好きなので……。物凄くアホアホな登場人物たち
 に、じょじょに感情を移入していくのはとても快感ですね。文系でもまったく問題あり
 ません。「隠された記憶」ミヒャエル・ハネケが好きなので……。劣等感を痛し痒しで
 つつかれて、快感に近いものがあります。

 【封切は終わったけれど…】
  「緑茶」/「クレイジー・イングリッシュ」のチャン・ユアン監督の2002年作品。
  出演は63年生まれのジャン・ウェンと76年生まれのヴィッキー・チャオ。ヴィッ
  キー・チャオはかわいい上に学生役で、どう見ても援交。しかもジャン・ウェンがも
  の凄く格好いいので、いかがわしさに拍車がかかります。黒いコート着て初登場の場
  面なんて、みぞおちにずがーんと入りました。クリストファー・ドイルの映像、そし
  て音楽も最高です。

★みのわあつおさん(ポップ・カルチャー評論家)―――――――――――――――――

 【ベスト】
  ●ピンクパンサー
     http://www.foxjapan.com/movies/pinkpanther/
  ●ジャケット
     http://www.jacket-movie.jp/
  ●ニューヨーク・ドール(※6月公開)
     http://www.nyd-movie.com/

  『ピンクパンサー』は、スティーブ・マーティンの初期の芸風の大復活!『ジャケッ
 ト』は、ジョージ・クルーニーとスティーブン・ソダーバーグの「セクション8」の製
 作作品には、『ソラリス』を除きハズレなし。『ニューヨーク・ドール』は、いくらド
 キュメントとはいえ、ドラマティックな出来事の連続に驚き。

 【裏ベスト】
  前回も書きましたが、年間ならいざ知らず、たかだが1ヶ月間に表も裏もないと思う
 し、選ぶほど観ていないのでパス

★宮城正樹さん(映画&音楽の批評&分析家)―――――――――――――――――――

 【ベスト】
  邦画
  ●1位)嫌われ松子の一生
     http://kiraware.goo.ne.jp/
  ●2位)雪に願うこと
     http://www.yukinega.com/
  ●3位)明日の記憶
     http://www.ashitanokioku.jp/
  洋画
  ●1位)グッドナイト&グッドラック
     http://www.goodnight-movie.jp/
  ●2位)ぼくを葬(おく)る
     http://www.bokuoku.jp/
  ●3位)ブロークン・フラワーズ
     http://www.brokenflowers.jp/

  邦1位)は映画技術としてのCGを効果的に使いミュージカル、昭和映画、泣ける系な
 どのスパイスに『セカチュウ』『極妻』のパロディも入れた豪華な女性映画。
  洋1)は50年代の雰囲気を描くモノクロに見せかけつつトーキー初期への郷愁をにじ
 ませた快作。
  これまでは悲劇的もしくは後はどうなるやら結末型が多かった北国への逃亡を『シー
 ビスケット』的前向き系で捉えた邦2位)。
  『恍惚の人』リーマン版の邦3位)。
  テーマは違うが『ベニスに死す』調のラストが渋い洋2位)。
  ロードムービーの定番を破壊した洋3位)。

 【裏ベスト】
  ●1位)夢駆ける馬ドリーマー
     http://yumekakeru-uma.com/
  ●2位)ピンクパンサー
     http://www.foxjapan.com/movies/pinkpanther/
  ●3位)キャッチ・ア・ウェーブ
     http://wwws.warnerbros.co.jp/catchawave/

  1位)はディズニーに対抗して設立された趣の製作会社ドリームワークスが、アニメ
 以外できるだけ避けてきたディズニー風味のファミリー色に染まった画期的な1作。
  2位)だが、主演のスティーブ・マーティンが余りにもチャップリンに似ているのに
 驚いた。クルーゾー警部のキャラはチャップリンからか?
  映画を撮ろうとしたのにTVチックになるのは、ある意味で難しい芸当だと思うが、そ
 れを難なくクリアーした3位)に僕は快哉を叫びたい。

 【封切は終わったけれど…】
  ●ニュー・ワールド
  南北戦争時代を描いた『風と共に去りぬ』などハリウッドの本格的ラブ・ストーリー
 の、ずっと以前の時代を背景にして、その愛のルーツを探るような深みを持った女性映
 画の傑作。ヒーローものがヒロインものへと変わる構成も巧み。スポ根ものと思わせて
 おいて人間の尊厳へと着地させたイーストウッド監督の『ミリオンダラー・ベイビー』
 級の仕上がりだと僕は思います。

★宮崎祐治さん(イラストレーター)―――――――――――――――――――――――

 【ベスト】
  ●ブロークン・フラワーズ
     http://www.brokenflowers.jp/

  ジム・ジャームッシュのツイスト・スタイルが成功した「私の愛した女たち」をめぐ
 るロード・ムーヴィー。
  ビル・マーレイは終始、居心地悪く不愉快そうな顔をしているのが良いし、女優たち
 の壊れ方も、皆しみじみと印象深い。
  ラストに出てくるビル・マーレイの本当の息子も同じ不愉快そうな顔をしていた。

 【裏ベスト】
  ●LIMIT OF LOVE/海猿
     http://www.umizaru.jp/

  映画版の第一作は海上保安庁入隊と訓練をする若者たちの行動がパターン通りで安く
 感じられたが、今作は海洋アクション映画として、完成度の高い力作になっている。
  「ダイ・ハード」を痛罵するほどのテクニックとヒロイズム。あまり映画批評には
 上ってこないかもしれないが、「面白い」映画NO.1。泣ける。

★山田宏一さん(映画評論家)――――――――――――――――――――――――――

 【ベスト】
  ●夜よ、こんにちは
     http://www.bitters.co.jp/yoruyo/

  1978年のイタリアのモロ首相の誘拐と暗殺(当時わが日本の伊藤俊也監督がたしか
 現地ロケまでしてテレビで再現ドラマを試みたことがある)をイタリアのマルコ・ベ
 ロッキオ監督が『シシリーの黒い霧』(1962)のフランチェスコ・ロージの再来と言
 いたいくらいの鋭いタッチで描いた傑作(と言ってもいいと思う)。ネオレアリズモは
 死なず。

 【裏ベスト】
●Vフォー・ヴェンデッタ
     http://wwws.warnerbros.co.jp/vforvendetta/

  『マトリックス』3部作の助監督だったというジェームズ・マクティーグの第1回監
 督作品。ナタリー・ポートマンが出るだけでもう、文句はないのですが(スキンヘッド
 のナタリーはかつてのTVコマーシャルのイオナのモデルの美しさを想起させる)、それ
 ばかりか、ロバート・ドーナット主演の『モンテ・クリスト伯』(1935)のビデオ、
 ジェームズ・キャグニー主演の『白熱』(1949)のポスター、クリント・イーストウッ
 ド主演の『荒野の用心棒』(1964)の鉄板といった映画的引用から『オペラ座の怪人』
 『マクベス』『怪傑ゾロ』といった戦前から何度も映画化されている古典へのオマージュ
 に至るまで、映画ファンをナイーブに快くたのしませてくれる作品です。

 【封切は終わったけれど…】
  東京・池袋の名画座「新文芸坐」の特集「気になる日本映画達(アイツラ)2005」
 で犬童一心監督の――『ジョゼと虎と魚たち』(2003)のいい印象もあって――『メ
 ゾン・ド・ヒミコ』を見に行って、そのすばらしさに驚嘆。あわてて『タッチ』も見に
 行って、とても同じ監督の作品とは思えないひどさに落胆。他の作品ももっと見なければ。

★渡部実さん(映画評論家)―――――――――――――――――――――――――――

【封切は終わったけれど…】
  最近の映画で印象に残った作品は「ヨコハマメリー」です。この映画の評判は方々か
 ら聞かれるようになりました。「ヨコハマメリー」は横浜・伊勢佐木町に居た娼婦のメ
 リーという人に取材した記録映画ですが、記録映画(ドキュメンタリー)として意識し
 て見なくても、充分に面白い作品です。それはメリーさんを巡って、横浜に住むさまざ
 まな人達がインタビューに応じてくれて、メリーさんが、いかに大勢の人達から目撃さ
 れていたかということと、そして、その目撃者たちのメリーさんへの解釈が人によって
 かなり分かれた意見になり、当人への印象が異なることです。
  冒頭の街の人達への即興的なインタビューは人の噂がいかに不正確で無責任なものか
 ともいえますが、ともかくメリーさんは横浜では知られていた。彼女は多くの視線に捉
 えられていた訳ですが、映画のラストに故郷の老人ホームでのメリーさんの姿が紹介さ
 れます。その穏やかな老婆の表情――その何物をも達観しているかのような表情を見て
 いると、たしかにメリーさんは街の人達に目撃されていたけれど、実はメリーさんこそ
 が、街と街の人達を一歩、奥深い認識をもって見ていたのではないか!? 発想は逆転し
 ます。人は映画や絵画を熱心に見るけれど、その一方的な関係は相互関係にもなり得ま
 す。つまり映画や絵画の方こそが鑑賞者を見ていたというミステリアスな状況も生まれ
 るのではないでしょうか。
  シュールレアリストのアド・キルーは「絵画はそれを見る人の存在によってのみ、生
 命を得る」と言いましたが、そのようなことも念頭にいれると「ヨコハマメリー」のほ
 ぼ後半からラストにかけては、取材に答えた横浜の人達と、われわれ観客がこの映画を
 作り上げて行くような気がしました。春に良い映画を見たという気持ちで一杯です。

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┣編集後記┫

◆プレ創刊号の反響から。
 「メルマガサンプルを拝見し、その豪華執筆陣に驚きました。早速購読登録いたしまし
た。映画館に出かけるのが貴重な機会になっているので、その参考にさせていただきます」
 「昨日の夜、家のアドレスで申し込みました。執筆人の方々は懐かしの“CITY ROAD”
関係の人がいてなんか嬉しくなっちゃった。わたし大森さわこさんとか好きでした。マイ
ナーなアラン・ルドルフのファンで記事が面白かった」
 「無性に懐かしいテイストを感じました。これだけ濃厚にエッセンスを凝縮したものは
なかなか見れません。必ずや映画鑑賞のお役に立つでしょう。それよりなにより、読み物
として楽しい。映画に行きたくなりますよ」
 極めつけは「天使に見捨てられた夜」「狼少女」、TV「ほんとにあった怖い話」「スカ
イハイ」などの脚本家・小川智子さんからのお言葉。
 「さっそく購読申し込みさせて頂きました。プレ創刊号を拝読して、『メルキアデス・
エストラーダの3度の埋葬』とても気になって、昨夜観て来たんです。良かったです~。
プレ創刊号がなかったら見逃してたなあと思って、感謝感謝でした。とても価値ある配信
だと思います」
 涙…やるぞ!
 今回も申し訳にもならぬ謝礼のみでご協力いただきました、映画評論家、映画ライター
の皆様に、厚く厚く御礼申し上げます。               (れがあるF)

◆ついに出ました創刊号。楽しんでいただけましたか? 執筆者のみなさま、映画宣伝・
配給会社の方々、そして早速お申し込みをいただいた読者の方々から、たくさんの励まし
をいただき、本当にありがとうございました。これからもどうぞよろしく。
 デザインを大幅にリニューアル、以前よりすっきりとして、見やすくなったホームペー
ジ「試写室だより 封切はこれからだ!」もチェックしてみてください♪(れがあるU)

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★今回もっとも人気のあったベスト作品は『グッドナイト&グッドラック』★
★今回もっとも人気のあった裏ベスト作品は『Vフォー・ヴェンデッタ』『ピンクパンサー』★
★ベスト、裏ベスト合わせてイチバン人気の作品は『グッドナイト&グッドラック』でした★
★次号は6月封切の話題作が続々登場します。お楽しみに!★
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■発行日:2006年4月30日
■発行者:れがある http://www.ne.jp/asahi/regard/best-urabest
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