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発表! メンバーが選んだ今月のグランプリ 2009年4月号

★参加メンバーに、3月に試写でご覧になった映画から〈最優秀作品賞〉と、〈最優秀個人賞〉を選んでいただきました。タイトルと個人名だけをメンバーの50音順で発表いたします。

※50音順

 秋本鉄次さん(映画評論家)

1952年山口県生まれ。広告代理店、情報誌編集を経て、フリーに。モットーは“飲む、打つ、観る”。「日刊ゲンダイ」「キネマ旬報」他でレギュラー執筆。夏に「映画は“女優”で見る!」(SCREEN新書)を上梓。府中市在住(競馬場から歩いて帰れるので)。
テレビのバラエティーでは、食い物系が密かにひいき。決してグルメ番組ではなく、テレ東の「大食い選手権」とかテレ朝の「お試しかっ!」などの食い散らかし系をサカナに安酒をかっくらう。この春の改編で両番組ともSP3時間ものを安酒かっくらいながら、のんべんだらりと見ているのが楽しい。そんな時間があればDVDで3本は見れるのに、この無為な時間も捨て難い。やはり自分はつくづく非生産的な男だと思う。ところで“大食い”では三十路人妻の新人、アンジェラ佐藤に注目した。青田典子系のケバくてエロいし、恐らく“大食い界久々の美人”だし、ギャル曾根、魔女・菅原に続くタレント性があると思うけど。ヨシ、今夜も食って、飲むぞ。

★最優秀作品賞 インスタント沼
★最優秀個人賞 月船さらら
        (「非女子図鑑」の1エピソード『B[ビー]』
          /ヒロイン=ノーブラの女



 稲垣都々世さん(映画評論家)

大学卒業後、「ぴあ」に入社。19年半にわたって編集部映画担当、副編集長、編集委員として映画欄編集、執筆業務に携わる。1997年に退社後、映画評論家として新聞の映画評や映画誌で執筆中。

★最優秀作品賞 レイチェルの結婚
★最優秀個人賞 ジョナサン・デミ(レイチェルの結婚/製作・監督)


 宇田川幸洋さん(映画評論家)

1950年生まれ。著書に「無限地帯 From Shirley Temple to Shaolin Temple」(ワイズ出版)。花椿、ロードショー、日本経済新聞(金曜夕刊)などに連載。
今月発売された『アマゾネス・王女の剣』('72)、『香港ラバーズ 男と女』('83)、『唐朝エロティック・ストーリー』('84)の3タイトルをもって、5年にわたったショウ・ブラザース作品のDVDシリーズがおわった。約100作品が日本語字幕つきで見られるようになったわけで、これは一大文化事業ではないかと思うのだが、見ている人がすくないのはさみしい。4月20日発売の「キネマ旬報」で浦川留さんと対談で、このシリーズについてかたりました。

★最優秀作品賞 レッドクリフ Part II-未来への最終決戦-
★最優秀個人賞 臼田あさ美(色即ぜねれいしょん/出演)


 内海陽子さん(映画評論家)

11950年8月22日、東京都台東区出身。A型。都立白鴎高校卒業後、企業の事務員をしながら映画鑑賞三昧の日々を過ごす。「キネマ旬報」のインタビュー記事のライターに起用されたことをきっかけに映画評論家に転身。

★最優秀作品賞 精神
★最優秀個人賞 横浜聡子(ウルトラミラクルラブストーリー/監督・脚本)


 馬場英美さん(ライター、エディター)

大人向け情報誌やTV誌の映画&DVDページの編集を担当しつつ、フリーの映画ライターとしてもぽちぽち活動中。朝日新聞のDVDコラム、SCREENなどで書かせていただいてます。

★最優秀作品賞 グラン・トリノ
★最優秀個人賞 マリサ・トメイ(レスラー/出演)


 浦崎浩實さん(激評者=映画評・芝居評&物故者ライター=Obituarist)

激評者(映画評・芝居評)&物故者ライター(Obituarist)、「八重山日報」東京通信員。1944年台北市生れ。

★最優秀作品賞 食客
★最優秀個人賞 ジェニー・ルメット(レイチェルの結婚/脚本)


 加藤久徳さん(映画ライター)

東京出身の映画ライター。銀幕主義者。

 前回まではSF・怪獣映画特集だったが、今月はアメリカン・クラシックムービーだ。DVDならいろんな外国映画が見られるのに、フィルム上映にこだわると、まず、1年前の新作でさえ、銀幕で堪能できない不自由な時代になっている。この世に生があるまでにあと何本、映画が見られるのか?たかが知れているとはいえ、チャンスも努力も惜しまなければ、肉体が健康であれば、東京にいる限り、映画は見られるものではある。
 フィルムセンター(FC)では昨年に引き続き、NFC所蔵外国映画選集アメリカ映画史研究のパート2を2月20日から3月8日まで9作品を上映した。これに東京地区ではシネクラブの老舗であるアテネ・フランセ文化センター(AF)が映画の授業/春期講習篇としてアメリカ映画特集を3月20日から28日まで17本を上映した。両特集に共通するのは全作とも16ミリプリント無字幕であること。違うのはFCの上映作品が1930年代中心の日本公開作であるのに対して、AFは30年代から60年代前半までと年代が広く、未公開作品が多いことで、どちらにしても一般的じゃない。“フィルムで見られる”ただそれだけに有り難みを感じることぐらいである。開催期間にずれがあるのでバッティングすることはないが、SF・怪獣映画特集のときと違い、見直しはいっさいせず、初見のみにした。それでも全26作品中15作品が初見だから結局は大変だ。その時間にその場所に行かなければ、その映画は(たぶん)永久に見られないという結果が待っているのだから。
 アメリカ映画は基本的に“聖なる映画”ではない。アメリカ映画はスターや役者で見るほうが正しい。今でもそうだが、ハリウッドの工場の中で作られるものは、監督など“要求にさえ応えられれば”誰でもいいと思っている。部品や原料の方が重要なのだ。この2つの特集は、僕のようなマニアックな観る側の要求に応えるに相応しいものが多く、グレタ・ガルボ、ハンフリー・ボガート、クラーク・ゲーブルらの今の日本の映画ファンにも比較的知られた大スターの名前があっても、題名そのものが忘れられた作品が多くを占める。よく“懐かしの~”とか言って、『第三の男』とか『ローマの休日』とか『モダンタイムス』など、年がら年中、毎日のようにどこかで懐かしがられる毎度お馴染みの懐かし映画がない。映画史系の“聖なる映画第一主義”の人間も相手をしないような、誰も知らないアメリカ映画であり、誰も知らないから、上映されると、僕と嗜好が一致するほんの一握りの“おかしな奴ら”だけが押し寄せる。ほんの一握りと言うのは誇張ではなく、AFは地の利が悪く、会場(4F)にはエレベーターもないから、FCの常連である高年層さえ、姿を見せない。だから映画をじっくりと決まった席で堪能出来る利点がある。
 FCのトップバッターとして観たのは1931年のMGM映画『自由の魂』。星の数ほどスターがいると言われた初期MGMにふさわしく、ノーマ・シアラー、レスリー・ハワード、ライオネル・バリモア、クラーク・ゲーブルとスターの名前が4人ある。ただし、オールスターではない。ゲーブルはまだ新人であり、ビリング5位。前年に『結婚双紙』(30)でオスカーを受賞したばかりのノーマ・シアラーを全面に立てた大女優映画。出ずっぱりのシアラーに対し、他の3人がそれぞれのパートで彼女をサポートしていて、シアラーは『自由の魂』でもオスカーにノミネートされていた。
 誰も知らない“懐かしの名画”だが、当時のMGMの威容を推し量るにはうってつけの大作。27年にMGMの大幹部アーヴィング・タルバーグと結婚してMGMのファースト・レディと呼ばれたシアラーの華やかな女優ぶりをじっくりと楽しめた。現在、シアラーの映画はまず見られない。無声映画鑑賞会などでロン・チャニーの娘を演じた『殴られる彼奴』(24)、エルンスト・ルビッチ監督の『想ひ出』(27)ぐらいしか彼女の美人女優ぶりを堪能出来ない。あとは2年ほど前にさる場所で、チビッコギャングシリーズの1作『ハリウッドは大騒ぎ』(32)にカメオ出演していたのをチラっと見たくらいのもの。ファースト・レディの彼女の権勢は30歳代にもなって本作の相手役レスリー・ハワードの共演で『ロミオとジュリエット』(36)のジュリエットを演じたことでも想像出来る。『自由の魂』では有名弁護士(L・バリモア)の娘とはいえ、どこにこんな無駄な金があるのだろう?と思えるほど、豪華な衣装をシーンごとに着替える厚化粧な女を誇示する。42年に引退。『風と共に去りぬ』(39)のオファーを受けて内諾した逸話も残っているが、本作のゲーブル&ハワードと再共演していたら、どうなっていたことか?
 彼女の父を演じているライオネル・バリモアも重要だ。この人は大スター、ジョン・バリモアの実兄なのだが、重厚な舞台俳優、映画の名脇役の印象が強い。映画監督でもあった。『自由の魂』では第4回アカデミー賞の最優秀男優賞を受賞している。ただし、この時期のオスカーには助演賞の部門がなかったので(助演賞が設定されるのは36年の第9回から)、脇役でも主演のシアラーと同格に扱われている。酒の誘惑から逃れられないアル中弁護士を文字通り重厚に演じており、クライマックスの裁判シーンでは、恍惚感たっぷりな芝居が売りの弟に負けない熱演が面白い。後にアルコール中毒者を演じる俳優はみなアカデミー賞を受賞する(レイ・ミランド、リー・マーヴィン、ニコラス・ケイジなど)風潮があったが、バリモアはそのオリジンだろう。
 ジョーン・ブロンデル、アン・ヴォージャック、ベティ・デイヴィスという当時のワーナー専属新人女優たちが共演する一種の暗黒映画『舗道の三人女』(32)はたった63分というピンク映画なみの短尺だが佳作だ。3人の女友達の10数年間の変遷を一挙に語る力業は当時の脚本家の脚色の上手さをよく表わしている。ブロンデルとヴォージャックは手持ちに資料がほとんどないが、南部圭之助氏や淀川長治氏などが出した写真集などには写真が載っているのでどんな女優かはわかる。特にブロンデルは『ゴールド・ディガース』(33)や『フットライト・パレード』(33)などのワーナーミュージカルの主演女優として僕の記憶の中にも残っている。本作でもショービズ界の人気女優の役を演じているのでなるほどと納得(本企画には、そのブロンデルと後に結婚するディック・パウエルの主演作『海行かば』(35)の上映もあった)。もう一人のB・デイヴィスは20世紀を代表する10人の米女優の一人に選ばれるだろう演技派の名女優だが、本作ではまだ控え目な感じで、3人の中ではいちばん地味に見えたのが意外だった。やはり、どんな役を獲得出来るかで俳優の印象度が決まる。彼女が本領を発揮するのは34年からで、サマーセット・モーム原作の映画化『痴人の愛』(34)の悪女役から。逆に考えれば、昨年にこのFCで上映された『春なき二万年』(33)と合わせて、新人時代の可愛いベットが見られたのは幸せと言うべきか。
 この『舗道の三人女』には、ハンフリー・ボガートがクラブ経営者の部下の一人として出演している。部下の一人とはいっても、ドスが効きすぎてギャングにしか見えない。彼がギャングスター俳優として頭角を見せるのは34年の舞台『化石の森』からだと思うのだが、32年の映画の本作ですでに出来上がっている。まず驚いたのは、彼が本編中、ついに1度も瞬きをしないことだ。
 優れた俳優はキャメラの前で一人で芝居するときには瞬きをしないものだ。クローズ・アップの時は尚更だ。観客がその俳優の表情から受けるインパクトが違うからだ。その代償としてモノクロ時代の映画人は俳優はおろか、スタッフまでがみな照明で目をやられた。ボガートも同様だろう。彼は当時はまだ一介の端役なのに、プロ根性には凄みを感じた。瞬きをしないのは当人の意志なのか、すでに『犯罪王リコ』(31)を撮っていたマーヴィン・ルロイ監督の指示なのか。興味のあるところだ。
 このFCの特集には映画化された『化石の森』(36)が入っている。以前からいちばん見たいボギーの映画であった。ボギーと同作の舞台で共演した大スターのレスリー・ハワードが、ワーナー社にボギーを強烈にプッシュして大役のデューク・マンティーをボギーに与えたそうだ。ボギーのスター人生の第一歩である。ただしこの映画は評価が低いらしく、これまでボギーのリバイバルでは出たためしがないのが気になっていた。今回、その理由がわかった。監督のアーチー・メイヨーが映画監督としては凡庸で、舞台臭さから一歩も抜け出す力がなかったからだ。出だしの風の吹きすさぶ街道沿いをハワードがトボトボ歩いているロケーションを除けば、およそ映画を感じない。ハリウッドの工場内のセットの中で、ヘイズ・オフィスのプロダクション・コードをきっちり遵守した人情劇とラブ・ロマンス(恋人たちを演じるのはハワードとB・デイヴィス)が展開されるだけだ。脱獄囚ボギーも空転している(この映画では一度だけ瞬きをしたと思う)。ボギーが凶悪な脱獄囚を本当に好演するのは55年のウイリアム・ワイラー監督の『必死の逃亡者』まで待たなければならない。そちらも戯曲の映画化だが、戯曲の映画化では第一人者のワイラーだから、完全にザ・ムービーの傑作になっていた。
  FCプログラムの中で唯一のグレタ・ガルボ主演作品の『マタ・ハリ』(31)。アメリカでは“スウェーデンのノーマ・シアラー”というふれこみで売り出され、日本では“氷の美女”とか“神聖ガルボ帝国”とネーミングされたグレタ・ガルボ。このキャッチは今でも使われるし、使いやすいようだ。このせいで、ガルボを語るとき妙に神聖化してしまう。リバイバル時の宣伝による“映画教育”の悪影響は今も直らない。S・ルメット監督が撮った『ガルボ・トーク/夢のつづきは夢...』(84)を見たときは、神聖にして侵さざるべき伝説の人物をついに現人神に仕立て上げたかと驚いた。昭和の末、旧池袋文芸坐の地下にまだル・ピリエという小劇場があったころ、ガルボの『マタ・ハリ』の上映が予定されたことがあった。早朝に喜んで観に出掛けたら、ジャンヌ・モロー主演の『マタ・ハリ』(64/脚本はフランソワ・トリュフォー)に変更されていた。元々フィルムは存在しないのに、配給元のリストに記載されていたからおきた不祥事であった。どちらも未見の僕はけっこう喜んでいたが、遠方から来たらしい中年男性は「何がジャンヌ・モローだ!」とカンカンに怒って帰っていった。FCでの上映時、この男性はいたのだろうか?
 戦後公開された『ニノチカ』(39)では『ガルボ・トーク』ならぬ「ガルボが笑う」と宣伝されたが、『マタ・ハリ』のガルボは、男をたらし込んで軍の情報を掠めとる女スパイを演じているだけあってよく笑う。彼女の微笑は美しい。しかし、上映とフィルムは最低だった。ポジのコピーらしく、モノクロの画質は最悪。ピンもまともに合わない。ガルボ映画専属のキャメラマンであるウイリアム・ダニエルズの映像美などどこにも存在しない。無声時代の名匠G・フィッツモーリスのかったるい演出も、セドリック・ギボンズの粋を凝らした美術も全編に霧がかかったままだった。ジョージ・イーストマン・ハウス国際写真映画博物館協力のもとコレクションされた16ミリプリントを購入したさいのお披露目上映がテーマなのだが、昨年の第1回上映のときは、今時はやりの復元とは無縁の低コンディションの収集プリントはおよそ収蔵には相応しいものでなく、センター備え付けのプロジェクターでも上映は失敗だった。当然、客の我々はカンカンである。満を持しての今年の2回目は前年よりは上映の技術はアップしているものの、フィルムがいいわけではない。実は『舗道の三人女』の上映のときは、ラスト1分、スピーカーの接触不良が発生したらしく、場内には音が出なかった(映写室内には音が出ているから映写技師は気づかなかった)。僕が見たのは2回上映の1回目で、2回目のときは最後まで音が出たそうだ。ナマ物の演劇やコンサートと違って映画は、いつ見ても同じものが見られるという人もいるが、デジタル時代であることも含め、映画だって全然違うと僕は思うな。途中で上映が打ち切られた経験だって何度もあるのだ。後年になって見直したとしても、『フランケンシュタイン対地底怪獣』のようなバージョン違いが公式上映で前触れなく起こる。自分の経験も認識も、必ずしも役に立つとは言えない。
 FC企画の不満を書いてしまったので、メタボな大スター、ウォーレス・ビアリーの相変わらずな好演が光る『拾万弗玉手箱』(36)と、本物の海軍士官学校の校舎内が見られる『海行かば』の2本はやめておく。しかし、映画はかなり面白かった。
 AF企画の番組はFCよりはるかにマニアックだが、だからこそ楽しみは多い。アメリカが日本と戦時体制に入る前に製作され、開戦後に公開されたナチス弾劾のプロパガンダ映画でハンフリー・ボガート主演『オール・スルー・ザ・ナイト』(42)や、デビュー間もないロバート・ミッチャム出演のラヴ・ロマンス『ジョニーへの想い』(44)、やはり無名時代のアラン・ラッドが出演の音楽映画『ファースト・ロマンス』(40)、チャールズ・チャップリンの妻として知られたポーレット・ゴダードが離婚後に主演した『われら誇りもて歌う』(43)と『松明』(50)の2作品など、中にはオスカーの候補になった作品もあるが、今の目で見ると、全て珍品である。変な映画ばかりだ。もし、AFのタイトルである映画の授業としてとらえるなら、『ファースト・ロマンス』は赤狩り時代の裏切り者として(後世の目では)戦犯扱いされたエドワード・ドミトリク監督の力量を推し量れるし、『ジョニーへの想い』はドイツ無声時代の娯楽アクション映画のヒットメーカーとして知られ、フリッツ・ラング監督の師匠と言っても差し支えないヨーエ・マイ監督の最終監督作であり、製作スタッフ、キャストが『カサブランカ』と似通った『オール・スルー・ザ・ナイト』の、2つの映画の同時代性を問うて映画史をでっち上げるのも可能である。それが目的で来ている人も多い。しかも、フィルムも上映もFCよりAFの方が上で、客席も空いている分、とても見やすいのだから最高だ。
 今回は2作だけここに記す。まずはアナトール・リトヴァク監督、オリヴィア・デ・ハヴィランド主演の20世紀FOX映画『蛇の穴』(48)。AF企画の中で一番のメジャー作品で製作当時の問題作である。メアリー・ジェーン・ウォードが実体験を元に書いたベストセラー小説の映画化で、カリフォルニアの当時の精神病院を舞台にした入院女性の再生を描いたものだ。正直、僕は狼狽えた。本作を見る直前にクリント・イーストウッド監督の『チェンジリング』を見ていたからだ。40年代の終わりを時代背景に、警察権力の横暴によりカリフォルニアの精神病院に送り込まれた女性(アンジェリーナ・ジョリー)の受難を描いた作品ではなかったか?『蛇の穴』は製作にあたって、カリフォルニアの精神病院を見学し、モデルとした。その実景場面も取り入れている。著者が入院してめでたく退院したからこそ、PRのために全面協力しているのだ。重症者に対する電気ショック療法は両作とも見せ場として登場するが、その使い方、医師、ナース、病院内の雰囲気等、およそかけ離れたものである。リアルタイムに作られた『蛇の穴』が嘘なのか?トゥルー・ストーリーとして60年後に製作された『チェンジリング』が本当なのか?その面白さ、醍醐味において、イーストウッドがリトヴァクを遙かに圧倒する。リアルタイムの強みは大きい。しかし、たかが映画。全面的に真に受けてはいけないのだろう。『蛇の穴』は予定108分に対して実測10分短いそうだ。公開当時もイギリス公開版はカットを余儀なくされているそうだ。この日上映のプリントが英国バージョンとは思えないが、もしテレビ放映のためのカット版であるなら、後半に登場する重症者たちのモブシーンなどをバッサリ切ったのではなかろうか。『蛇の穴』は後に退院するヒロイン(オリヴィア・デ・ハヴィランド)を中心に描くわけだから、周囲にいる患者は当然、通院も可能な軽症者ばかりとなる。逆に考えれば、重症として送り込まれた『チェンジリング』のアンジェリーナ・ジョリーは退院不能な重症者たちと一緒を義務づけられる。視点と立場を異にすれば、同じ病院だろうと違うものが出来上がると思ったほうがいいのかもしれない。実際、『蛇の穴』で聡明な精神科医を演じるイギリス出身の演技派レオ・ゲンを、僕はマッド・ドクターと思って見ていた。そうすると、映画がとても面白く見えたのである。
 最後の1本であるユナイト映画『荒野の追跡』は僕の三種の神器の一つ、西部劇である。40年代を代表するトップスターだったジョエル・マクリーとバーバラ・スタンウイックの共演作で、タイトルは日本語だが劇場未公開だ。監督のチャールズ・マーキス・ウォーレンという人は、映画よりも『ローハイド』を初めとするテレビ西部劇のほうで名を上げた監督らしい。勝手に当て推量すると、自作に勇壮な主題歌を付けるのを好む人で、幾つかの劇場公開作品にはディミトリー・ティオムキンなどにスコアを書かせていて(『ローハイド』もそうだが)、この『荒野の追跡』では、人気ウエスタン歌手で『真昼の決闘』の主題歌も歌ったテックス・リッターがやはり豪快なノドを聞かせている。『ローハイド』が代表作なら、クリント・イーストウッドも彼に使われていたことになる。が、僕にとってのウォーレン体験はエルヴィス・プレスリーが主演した『殺し屋の烙印』(69)1本のみ。製作後2年たって公開されたものだが、ガキの目にも駄作だったという印象が残っている。たしか、題名通りに殺し屋の烙印である火傷を悪玉から顔に負わされたエルヴィスが、あっさりと友人か誰か(保安官だったような)の家にたどりついて何事もなくストーリーが進行した...。つまり、何のために火傷を負わされたのか分からないのだ。見た当時は、エルヴィスも監督のウォーレンも頭がおかしいと思った。逆に言えば、エルヴィス作品中、唯一スプラッシュ扱いの二番館でひっそりと公開された劇場映画として特筆していいのかも。
 この『荒野の追跡』は、ベテランの騎兵隊軍曹(ジョエル・マクリー)が、アパッチの妻となった白人女(バーバラ・スタンウィック)とその混血の息子(テリー・ローレンス)をアパッチ討伐の過程で保護し、やがて女の本来の白人の夫(ジョン・デーナー)の元へ駅馬車を使って送り返そうとする。タイトルにある追跡とは息子の父親であるアパッチの酋長(ルドルフォ・アコスタ)が、妻と息子を奪い返そうと追ってくることから付いた題名。TV放映時の題名と思われる。これまた誰が見ても同じ印象を持つと思うが、映画の半分が駅馬車の中での人間ドラマとなっていて、そこそこ面白い。町中での白人たちのインディアンに対する差別ぶりもよく出ている。『駅馬車』の焼き直しのような作品だが、周辺の人物描写はこまやかに描かれているのである。中年太りで突き出た腹のマクリー(この人は本作の5年後に引退する)も、闘いに飽きた軍人の悲哀を良く出していい味を魅せる。ジョン・スタージェス監督の『ガンヒルの決闘』(58)でアンソニー・クインの馬鹿息子を演じていたアール・ホリマンが駅馬車での道中に絡む若者役で共演しており、僕には主役の二人よりも懐かしい顔だった。それは冷酷非情な酋長のアコスタにも言えることで、この人は、今回上映の『松明』の監督で、サム・ペキンパー監督の『ワイルド・バンチ』(69)などでは俳優として知られるエミリオ・フェルナンデスと共に、『続荒野の七人』(66)でユル・ブリンナーら7人のガンマンと闘ったことのある忘れ難いコワモテ俳優だ。能面のように顔色一つ変えない冷血漢ぶりがこの人の新骨頂である。
 この冷血漢のアパッチと白人女とハーフの少年の組み合わせで僕には忘れられない傑作がある。ロバート・マリガン監督のアメリカン・ニューシネマ『レッド・ムーン』(68)だ。ベテランのインディアン・スカウトの男(グレゴリー・ペック)が引退寸前に白人女(エヴァ・マリー・セイント)と混血の息子を保護してしまったばかりに、その夫のインディアンに命を狙われる恐怖ウエスタンがそれだ。男には後事を任せるつもりの若者(ロバート・フォスター)がいるので、彼はアール・ホリマンの立場と言えるだろう。こちらのインディアンは冷血漢どころか姿そのものを見せずに行き合う人々を殺していく。まるで『13金』や『ハロウイン』のオリジンである。本国ではホース・オペラに分類される『荒野の追跡』と違い、『レッド・ムーン』はホラーだが、『荒野の追跡』が元ネタとしか思えない。だからといって双方のいずれかが霞むというわけではなく、銀幕で気づいたことがうれしいのだ。
 この映画の授業。試験はないが、実に面白かった。

★最優秀作品賞 チェイサー
★最優秀個人賞 イジー・バルタ(屋根裏のポムネンカ/監督)


 河原晶子さん(映画評論家)

お茶の水女子大学卒業。音楽之友社で雑誌編集に携わり、その後フリーに。映画を中心に、音楽、ダンス、演劇などの評論を手がける。著書に「映画を聴く-映像とサウンドの旗手たち」(ブロンズ社)、「ベジャール・愛と死の祝祭」(新書館)、「バグダッド・カフェでお茶を」(羊泉社)。

★最優秀作品賞 ウェデング.ベルを鳴らせ
★最優秀個人賞 ミッキー・ローク(レスラー/出演)


 黒田邦雄さん(映画評論家)

雑誌媒体を中心に映画批評を書いています。

★最優秀作品賞 ブッシュ
★最優秀個人賞 田中千世子(浪漫者たち/製作・監督)


 佐々木淳さん(フリーエディター&ライター)

1961年10月31日、北海道函館市出身。編集本に「フォービートのアルチザン 岡本喜八全作品集」「東宝ポスターギャラリー」(以上東宝)、「阪妻」(太田出版)ほか。1987年より、劇場パンフレットの編集を始め、その後、「フォービートのアルチザン」の編集を皮切りに、単行本、メイキング本などの編集にも携わるようになり、現在に至る。

★最優秀作品賞 鴨川ホルモー
★最優秀個人賞 山田孝之&濱田岳(鴨川ホルモー/出演)


 塩田時敏さん(映画評論家)

1956年札幌出身。白夜書房の編集者から映画評論家に。「キネマ旬報」「TVtaro」他で、隠れた所から新しい才能を発掘する独自の評論を展開。ニューシネマワークショップの講師として新人映画人の発掘も実践。ゆうばり国際ファンタスティック映画祭プログラミング・ディレクター。
今月、評判の高い「余命一ケ月の花嫁」 を現時点で見逃しているのが、心残り。単なるお涙頂戴と侮れないようです。

★最優秀作品賞 レスラー
★最優秀個人賞 マリッサ・トメイ(レスラー/出演)


 品田雄吉さん(映画評論家)

フリーの映画評論家です。
「キネマ旬報」に毎号、日本映画4作の批評を書かせていただくようになり、いろいろ勉強させてもらっています。

★最優秀作品賞 重力ピエロ
★最優秀個人賞 ショーン・ペン(ミルク/出演)


 高崎俊夫さん(編集者)

1954年生まれ。『月刊イメージフォーラム』編集部を経て、現在、フリーの編集者として映画を中心とする書籍の編集を手がけている。『キネマ旬報』『CDジャーナル』等にも寄稿している。
4月5日発売の「キネマ旬報」は、淀川長治生誕100周年記念特集ですが、「批評家
としての淀川長治」というテーマで原稿を書きました。自ら<映画の伝道師>を任じ、映画の魅力を広く一般大衆に伝えるという啓蒙家としての役割を担った淀川さんですが、蓮實重彦、山田宏一氏との大座談会『映画千夜一夜』(中公文庫)を読めばわかるように、晩年は、特異な美意識と官能性を表出させた傑出した批評家としての側面を露わにさせました。ちょうど、同じ頃に、『月刊イメージフォーラム』に書いてもらった「ウィル・ロジャース論」「『三人の女』とアルトマンの作家精神」「エリッヒ・フォン・シュトロハイム論」などの傑作評論に言及しながら、凄みある批評家としての淀川さんの魅力に思いを馳せました。

★最優秀作品賞 夏時間の庭
★最優秀個人賞 オリヴェエ・アサイヤス(夏時間の庭/監督・脚本)


 高村英次さん(映画ライター)

札幌在住の映画ライター。

★最優秀作品賞 グラン・トリノ
★最優秀個人賞 濱田岳(鴨川ホルモー/出演)


 滝本誠さん(評論家)

「キネマ旬報」で連載中。
9月刊行予定の本のために現在、これまで書いた原稿を集成、再構成中。ちいさく厚い本というのがコンセプト。

★最優秀作品賞 チョコレート・ファイター
★最優秀個人賞 チョコレート・ファイターの少女
        (チョコレート・ファイター/出演)


 田中千世子さん(映画評論家)

所沢の秋草短大で新入生対象にシナリオ入門コースを開設。外国映画史と日本映画史もばっちり教える予定。
『浪漫者たち』がおおさかシネマフェスティバルで上映された。東京での公開を前に日本橋にオープンした「奈良まほろば館」を訪ねてチラシを置いてもらう。大和ブームに期待!

★最優秀作品賞 レスラー
★最優秀個人賞 ミッキー・ローク(レスラー/演技)


 永島浩さん(映画案内人)

雑誌「ぴあ」において映画欄の編集、広告の企画製作等に携わる。1977年に開かれたぴあ展ではPFF(ぴあフィルムフェスティバル)の前身「'77自主製作映画展」を手がける。以後、ビデオ、DVDの解説、パンフレットのコラム等を執筆。2004年7月、映画ブログ「ラムの大通り」を開設。
1月6日(火)より、カタログハウスのウェブサイト「火曜だよ、通販生活」の中で「シネマのすき間」というコラムを執筆することになりました。その週末に封切られる映画より1本を選んでの映画紹介です。「ラムの大通り」と同じくフォーンも登場。よろしくお願いいたします。

★最優秀作品賞 チェイサー
★最優秀個人賞 蒼井優(いけちゃんとぼく/声優)


 永野寿彦さん(シネマ・イラストライター)

生涯の1本はおそらくその日の気分で変化するだろうけれど、運命的な1本という意味でスティーブン・スピルバーグ監督の失敗作との呼び声高い「1941」('79)。ライター仕事だけでなく、メイキングとして現場にも出没。
今やりたくて仕方ないもの。それはゲームの『モンスターハンター ポータブル 2nd G』。何を今さらって感じなんだけれど、これをやるためにはPSPが必要で、このためだけにPSPを買うのにはちょっとイヤでずっと我慢してきた。ところがタイミング良いことに、友人のお子さんが受験でしばらくPSPを使わないとのことで貸してもらえることに。楽しみ楽しみ!

★最優秀作品賞 重力ピエロ
★最優秀個人賞 パパイヤ鈴木(鴨川ホルモー/振付け)


 西脇英夫さん(映画評論家)

1943年、東京生まれ、日大芸術学部 映画科卒、CM製作会社を経てフリーに。著書、『日本のアクション映画』『映画より面白い』(以上、映画評論)『浮世の剣』『浪人無宿』(以上、小説)、『霞が関埋蔵金』(『さらば財務省』の劇画化 東史朗名義)。

★最優秀作品賞 グラン・トリノ
★最優秀個人賞 クリント・イーストウッド(グラン・トリノ/主演)


 野村正昭さん(映画評論家)

1954年5月31日、山口県生まれ。映画会社宣伝部、広告代理店勤務を経て映画評論家に。「キネマ旬報」「サンケイ新聞」「映画芸術」「月刊シナリオ」誌などに執筆。
5月に開催される、ゆふいん文化・記録映画祭/第2回松川賞第1次選考のために応募作全65本を見て疲労困憊。当然といえば当然ですが、秀作や力作もあれば、箸にも棒にもかからないものも数多く、しばらくはドキュメンタリーを見たくない気分です。

★最優秀作品賞 セントアンナの奇跡
★最優秀個人賞 オマー・ベンソン・ミラー(セント・アンナの奇跡/出演)


 増當竜也さん(映画文筆)

1964年2月11日、鹿児島県出身。ノベライズに「狐怪談」「君に捧げる初恋」「4400 第3シーズン」(以上、竹書房)、取材本に「十五人の黒澤明」(ぴあ)。
あ、『GOEMON』も面白かったです。あの監督の評価、これで一気に変わるでしょうね。

★最優秀作品賞 交響詩篇エウレカセブン ポケットが虹でいっぱい
★最優秀個人賞 オニ(鴨川ホルモー/出演)
        

 まつかわゆまさん(シネマアナリスト)

ねずみ年の三月生まれ。誰も信じないがA型。今は無き高校と今は無き都立大を出て今は無き女性誌編集部をへてフリーライターに。妊娠を機に今は無き「ホッドドッグプレス」の映画ライターとなり、雑誌・電波含めて死屍累々乗り越えて現在にいたる。今は無き深夜ビデオ紹介番組をきっかけにシネマアナリストと自称。映画を通して時代を分析したいと考えている毎日。専門学校・カルチャースクールにて講師もつとめ、映画ファンの育成を心がけているところです。
カンヌの準備がそろそろ。見だめしつつ、本も売り込まなきゃと結構ばたばた。二年続けて書いたウェブサイトが閉鎖になると決まって、困ってますが、それでも、行きます。

★最優秀作品賞 レスラー
★最優秀個人賞 クライブ・オーウェン
        (『ザ・バンク 堕ちた巨像』
         『デュプリシティ スパイはスパイに嘘をつく』/出演)


 松島利行さん(映画評論家)

東京・阿佐ヶ谷生まれ。元毎日新聞学芸部編集委員(映画、囲碁など担当)、現在は日活芸術 学院講師(映画史、作品研究)などで貧しく暮らす。
「キネマ旬報」などに映画評を連載中、「広辞苑」第五版の映画関連項目を執筆・監修。
主な著書に「風雲映画城」(上下)、「日活ロマンポルノ全史」=いずれも講談社刊=
浅草に移転して1年余となるが、いまだに部屋が片付かず、本やビデオが外にあふれている。
浅草には中華、朝鮮料理屋が多い。かなりおいしい。
品田雄吉さんに先日、年も取ったし、この仕事はさぼればいくらでもさぼれるから、どんな原 稿も引き受けて必ず書く心掛けが大切だと教えられました。(ご本人の言葉とは違うけれど、 このように解釈しました)

★最優秀作品賞 チェイサー
★最優秀個人賞 キーラ・ナイトレイ(ある公爵夫人の生涯)


 皆川ちかさん(ライター)

新潟県出身。東京在住。『キネマ旬報』『HOT CHILI PAPER』などで書いてます。
4月21日発売の『韓国テレビドラマコレクション 2009』に今年も参加しました。

★最優秀作品賞 精神
★最優秀個人賞 ハナ・マフマルバフ(子供の情景/監督)


 みのわあつおさん(ポップ・カルチャー評論家)

雑誌編集者を経てフリーランス・ライター。著書に「サタデー・ナイト・ライブとアメリカン・コメディ」(フィルムアート社)。

★最優秀作品賞 ザ・スピリット
★最優秀個人賞 フランク・ミラー(ザ・スピリット/監督・脚本)


 宮城正樹さん(映画&音楽分析評論家)

滋賀県栗東市生まれ。「オリコン」のライバルの「レコード新聞」編集長を経てフリーへ転身。「MOVIEぴあ」「韓流ぴあ」などのぴあムック、「キネマ旬報」、「別冊宝島 音楽誌が書かないJポップ批評」などで鋭意執筆中。

★最優秀作品賞 グラン・トリノ
★最優秀個人賞 熊澤尚人(おと・な・り/監督)


 宮崎祐治さん(イラストレーター)

キネマ旬報などに映画のイラストレーションを描いています。CMやテレビ番組の企画・演出も時々。

★最優秀作品賞 チェイサー
★最優秀個人賞 ケイト・ウィンスレット(愛を読むひと/出演)


 森直人さん(ライター)

1971年生まれ。著書に「シネマ・ガレージ~廃墟のなかの子供たち~」(フィルムアート社)。

★最優秀作品賞 レスラー
★最優秀個人賞 ミッキー・ローク(レスラー/主演)


 山田宏一さん(映画評論家)

和田誠さんとの書下ろし(!)対談「ヒッチコックに進路を取れ」(たぶんこの題になると思います)の校正刷がやっと出てきました。刊行は6月末か7月初めになりそう。「ゴダール、わがアンナ・カリーナ時代」のほうは9月になれば――Come September(?)。

★最優秀作品賞 嗚呼 満蒙開拓団
★最優秀個人賞 羽田澄子(嗚呼 満蒙開拓団/演出・ナレーター)


 横森文さんライター&役者

映画ライターとして活躍しつつも、小劇場界にも足を突っ込んで奮闘中。
5月15日~19日まで池袋シアターグリーンBOXinBOXにて、主宰するトツゲキ倶楽部の公演『いつも心に怪獣を』を上演。トツゲキ倶楽部でググって。

★最優秀作品賞 スラムドッグ$ミリオネア
★最優秀個人賞 浅野忠信(鈍獣/出演)


 渡部実さん(映画評論家 大学講師)

今月のお薦め記録・文化映画1
「湯の里ひじおり-学校のある最後の一年」               
3月末。一本の新作ドキュメンタリー映画の初試写が行われました。その新作「湯の里ひじおり-学校のある最後の一年」は山形県の肘折温泉とその地域の住民の生活を記録した作品ですが、当日、横浜にある試写室はちょっとした緊張に包まれていました。それはこの映画のスタッフの人達に原因がありました。まず監督はこの映画が初めての作品となる渡辺智史さん。山形出身の渡辺さんは27歳の新人監督です。そして撮影は堀田泰寛氏(「靖国YASUKUNI」)。編集は鍋島惇氏(「ゆきゆきて神軍」)。録音が久保田幸雄氏(「エロス+虐殺」「戒厳令」)。ナレーションが伊藤惣一氏(「ぶんきようゆかりの文人たち」「いのちの作法」)。製作が元・小川プロダクションのメンバーで三里塚シリーズをはじめ、長年、山形国際ドキュメンタリー映画祭を映像で記録してきた飯塚俊男氏といった人達でした。私は映画評論家ですが、試写の前後、待ち合い室で顔を合わせた時、当日はすべてのスタッフが来た訳でなかったのですがお互い、会話を交わすまでもなく、それぞれの思いは、それぞれの相手に確かに伝わっているようでした。沈黙はしているが、沈黙こそ、何ものかを決定的に伝える手段であることを知悉しているこれらプロの前でこの新人監督の映画は上映されました。「阿賀に生きる」 『佐藤真』といった言葉が発せられたならば、さらに試写室の雰囲気は大きく変わっていたことでしょう。作品の評価は観客の判断にお任せするとしてこの映画は6月より各地で上映運動を展開する予定です。多くの人達に見ていただきたい期待の新作だと思いました。

今月のお薦め記録・文化映画2
「台湾人生」              
この酒井充子監督によるドキュメンタリー映画もとても興味深いものでした。日本人にとって台湾の歴史と社会には、まだよく知られておらず、理解されていない側面がある。この事を取材によって糸を解きほぐすように明らかにしていく作品でした。私も山形国際ドキュメンタリー映画祭などで、中国、台湾の映画人、そして、国内でも在日の映画人とよくお会いするのですが、もちろん、この映画で台湾の歴史社会が明らかにされたといっても、私のような戦後生まれの日本人にとって、それが、どこまで自分なりの理解に至ったかは、あまり自信がありません。この映画を見ると、昨年の「靖国YASUKUNI」はアジアの近代、現代史の観点から中国、日本、台湾といった各国に残る歴史、民族自決などの諸問題をとてもよく提起していたと思います。少し前に亡くなられた評論家の加藤周一氏は「戦後世代には戦争責任は無いが、これからの新世代の為に戦争を語り伝えていく義務があるのでは?」と言われていましたが、これはまさに正論で、その意味で戦後生まれの酒井充子監督が自ら台湾に赴き、戦争体験者を取材したこと。これはやはり戦後派の人が戦争を語り伝えていくという行為を実践しているのではないか。そう見るとこの映画は(台湾の人達の複雑な政治的立場を考慮しなければならないのは当然としても)共感できました。

★最優秀作品賞 子供の情景
★最優秀個人賞 ミッキー・ローク(レスラー/出演)



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